坂道を上り切ったが、視界の全てに、真っ黒な世界が広がっていた。

 一哉は唾液を飲み込み、ゆっくりと、道が消えている先端まで向かい、そこから断崖を覗いた。

 底の見えない、ただの真っ黒な空間が広がっている。
 
「なんだ、これ……」

 夢とは分かっているのに、全身の毛穴から汗が滲み出た。

 一哉は唾液を飲み込み、顔を上げて固まった。

 つい先ほどまで暗闇だったのに、一面、赤茶色の大地が地平線まで広がっていた。

 そしてその真っ赤な大地を埋めつくすように、幾万もの墓石が並んでいた。