生白い腕を振り上げ、太陽に向かって再びボールを投げた。

 太陽の光に焼かれ、自分が消えてしまう気がした。

 だから、太陽を消したかった。

 だが敵はあまりに強大だ。

 ボールが当たるはずもない。消えもしない。

 しかし胸の奥底にある真っ白な衝動が、ささやいてくるのだ。

「消せ、消せ、消せ」

 ささやきは波紋となり、指先まで広がる。

 落ちてきたボールが、バウンドした。

 一哉はボールをつかみ、見つめた。

 そんな行為をもう一時間も、繰り返していた。

「僕は、まだ、存在しているよな」