きゃっちぼーる

「まぁね。たいしたもんさ」

 一哉は鏡から目を逸らしながら返事をし、手と手を組み合わせて伸びをしながら欠伸をした。

 その行動がわざとらしい感じがし、勝手に気まずくなったがどうしようもない。

 ごまかすため、もういちど欠伸をする。

「ふあぁ~あ」

「あんまり寝てばかりいると、脳みそ腐っちゃうよ?」

 鏡が軽い口調で言った。

 もっともだけど……。

 一哉は唇の端を引きつらせ、黒板の上に設置された時計を見た。

 昼休憩終了まで、あと二十分はあった。