秋は薄暗い。
 
 一哉は銀色の瞳を細め、落ちてくるボールに、ゆっくりと手を伸ばした。

 手の横をすり抜けたボールは地面に落ちると、ぶひゃんと、軽いのか重いのかよく分からないまぬけな音を響かせバウンドした。

 一哉はボールを受け止めると、汗で濡れた顔を腕でぬぐって空を見上げた。

 灰色の雲のすきまから、太陽が光を伸ばしていた。

 一哉は太陽に顔を向けたまま、敵を前にしたような声で呟いた。

「消えればいいんだ」