「朝よ…」
お母さんの優しい声に促され、私はのそのそと起き上がる。
洗面所で鏡を覗くと、目が赤く腫れていた。
「はぁー…」
私、泣いたんだっけ…。
ひどい顔…
こんな顔じゃ、コウくんに会えないじゃん。
どーしよ…
化粧で誤魔化すって言ったって、メイクの仕方なんて知らないし…
でも…
「あら、唯、ひどい顔ねぇ〜。そんなんでコウちゃんに会いに行く気?」
鏡を前にボーッと考えていると、後ろからお母さんの声がして、私は慌てて振り返った。
「お母さん…。やっぱ、ひどいよね?顔。私、今日は止めよっかな?お見舞い。」
そう言いながら少し俯いて苦笑いしていると、お母さんは、仕方ないなぁと言いながら私の前にイスを差し出した。
「お母さんがやってあげるから座りなさい。」
「え?ほ、本当!!?」
「そんな暗〜い顔さらたらこっちが気分悪いわ。」
そんな悪態をつきながらも、元気のなかった私に優しく微笑んでくれた。

