「唯ちゃん…」
「佐倉さん?」
気まずそうに顔を歪めて慌てるまみさんと、不思議そうに首を傾げる荒木さん。
そんな二人の向こうで、コウくんは冷めた目で私を見つめていた。
「あ、荒木さん、来てたんだね。あ、花持ってきたんだけど…」
そう言って花瓶に目を向けると、花瓶にはきれいに花が飾られていた。
「あ、ごめんね…別の花瓶に……」
「あ、いいですっ!!気が利かなくてごめんなさい。今度から、別の持ってくるね。」
新しい花瓶を持ってこようと病室を出ていこうとしたまみさんに、慌てて声をかけて引き止めた。
沈黙が嫌で、私は言葉を繋ごうと必死でしゃべり続けていた。
「あ、そうだっ!!ケーキ。あのね、コウくんが好きなモンブラン買ってき……」
「もう食った。」
私の言葉を遮って、コウくんが冷たく言った。

