ガタン

「悠...里?悠里ー!!」


あたしは意識を失って、病院に運ばれた。


拓真がグーで雅哉を殴ろうとしたところを

身を投げ出して止めた、あたし。


自分でやったことに、後悔なんかしていない。

だってあの時は、

拓真が今殴ったところで

何も解決しないって思ったから。


ましてや、体がボロボロの状態で


反撃なんてしたら、負けるに決まってる。












…拓真、なんで勉強してたの?


あたしがエリート高校の話をしたから?


知りたいよ。


拓真のことが知りたいよ。


それから一週間後

コンコン

「はい。」

「俺だけど...」


拓真があたしの病室に

お見舞いに来てくれたのは

初めてのことだった。

「どうぞ」

ガラ

なんだか少し見ないうちに

髪の毛、短くなった?


あれから拓真は、自分のやったことに

深く反省して髪の毛を切って心を入れ替えたって言った。

「悠里、ごめんな。」

謝らなくてもあたしは

全然大丈夫なのに...。

拓真は帰るまで

ずっと

あたしの手を握って謝り続けた。