さくらは先日の返事は、まだ出してはいない…
あれ以来、ベッドの上にいることが多くなっていた…

返事の手紙は書いては
いるのだが-


元気でいようと思っていると、書いてはいるが-
何をするのにも、億劫になっていた-


それでも、一応手紙にはありったけの気持を正直に表していた-


『あなたの顔が浮かんできます。

若い時のあなたですが、ほんとうに、永い歳月でした-

待って、待って、待った… 自分を褒めてやりたいと思います。

『これからは、今までの 辛いことなどは-

サッサと、水に流して しまい。

残された、時間への希望を 糧に生きようと思います』

さくらは手紙に、そう書いてはみたが…


からきし、元気がでない-

菊池の手紙には…
『元気でいてくれ』と、書かれていたが、

その気持に胸が痛んだ-

元気にならないと、
菊池に会えないではないか-

心から、ありがとうと
愛しさで胸がいっぱいになって いた-


そして、過去の様々な理由で、別れた時のことを思い出していた-


最初の別れの時、
私は子供 だった-

だから、立ち直るのに、長い時間が
かかってしまった…


2度目の別れ、この時は冷静だった。

お互いの家庭を壊してまで、結婚しようとは思わなかった…


その代わりと、言ったらおかしいかもしれないが…
別れても、嫌いになったわけでもなく…

むしろ、より深く胸の奥へと、大事にしまい込んだと、言うことだろう…

私は、それを時々、取り出し抱き締めていたのだ…

灰の中にある、埋み火を…そっと、取り出すようにして…


自分勝手な愛し方だが、振り返れば、昨日のことのように思えてならない………