というのも…俺は長男で若い頃…何度もお袋を泣かせたこともあり、いつかは…結婚してお袋を安心させ…



いつも笑い声が絶えないような家庭をつくるのが夢だった。



それで彼女だったら…そんな家庭ができそうな錯覚を持ってしまっていた。



結婚後は同居することも同意してくれ…彼女を親に紹介した。


ところが親父もお袋もなぜかいい顔はしてくれなかった。


喜んでくれるどころか反対するような口ぶりだった。


それでも俺は彼女を信じようと…。


しかし現実は人生経験も豊富な両親の目が正しかった。



婚約が決まると彼女はそれまでの彼女とは違う面を見せ始めた。



我が儘で自分の思い込み通りに事が運ばないとすぐに怒るようになった。



物分かりのいい、優しい彼女は消えていた。



少しずつ婚約したことを俺は後悔しはじめた。



最初は同居することを了承してくれていたのが結婚が近付くと同居なんかしないと言い始める始末。


そしてついにあの事件が起こるのだった。


あの事件とは、結婚式の案内状ができて来た日に起きた…未だに忘れることができない…あの事件が。