「っていうか!」
奈々は俺の真正面まで来て、俺を遮るように、声を張り上げた。
「犯人もう捕まってるって。ニュース…ちゃんと最後まで見た?」
「……………」
お互いに顔を見合わせていた。
このときの俺のポカーンとした顔は、史上最強にアホだと思うね。
一時期”3になったらアホになりまーす”って芸人がいたけど、そいつなんかと比にならないくらい…俺は。
奈々は口元を緩ませて、ついに笑い声を洩らした。
「ぷ…ぷぷぷぷーっ!健ちゃんのバカぁ!
何言い出すかと思えば…殺人宣言?
こんなことが起きたら誰だって動揺するのは分かるけど、落ち着いて。」
――俺 は 何 を 言 っ て い た ん だ 。
一気に、止まっていた血の巡りが活発になった気がした。
自分で言ったことが、急に恥ずかしくなった。
