「それは…、のろけ?」
「ち、違っ!
美穂子が聞いた…よ、ね…?」
あれ…?
自分から話したんだっけ?
「まぁ。そーゆーことにしておこう!」
美穂子は楽しそうに笑った。
美穂子はよく、
『人の幸せは蜜の味』という。
『人の不幸は蜜の味』よりは良いと思うけど…。
「千香愛されてるねぇ。」
愛?
好きとは言ってくれたけど。
「愛やなぁ。」
関西弁!?
「直人さん!?」
この人、
社長なのに、
現場に来すぎでは…?
「あぁ、なおちゃん。」
「なおちゃん!?」
「みほぉ、仕事場ではその呼び方せんといてぇ。」
『みほ』!?
「別にいいじゃん?
誰も聞いてないし。」
わたしは無視ですかぁ…?
「あんな、…みんな知らん振りしとるけど、ちゃんと聞き耳たてとるで?」
「別にいいんじゃない?」
美穂子は社長さんにタメ口なんですかぁ…?
「相変わらず適当やなぁ。」
「人のこと言えないんじゃないかい?
あんたも『みほ』って読んでる時点で!」
二人は一体どんな関係ですかぁ…?
結局直人さんがいなくなるまで、
わたしのいっぱいの疑問は、
質問することができませんでした。

