俺はオーナーのとこから飛び出して、
全力でチカのとこに駆けた。


「チカっ!!」


「レイス…っ!?」


俺はチカを見た途端に、
チカの両腕をつかんだ。


「…チカ…。聞いて。」


最初は動揺しているみたいだったチカだけど、
俺の目をしっかりと見てくれた。


「この気持ち、何ていうのかわからないけど、聞いて…チカ。」


チカの顔はなぜか悲しそう…。


「…俺、チカがいないとだめなんだ!

 チカじゃないと、ダメなんだ!

 チカがいいんだ。

 チカといっぱい話したいし、チカの笑った顔がいっぱいみたいし、ずっと、ずっとそばにいたい。」


一気に言った。



それから何でか分からないけど、
俺はチカを自分の腕の中に抱き留めた。


「!」


「ずっと、こうやって…ぎゅってしてたいんだ。」


腕の中のチカから、
聞こえないくらいの声で、
『レイス』って聞こえた気がした。


「チカを見てると、俺…、胸が苦しくなるんだ。

 心臓がドキドキなって、大変なんだ…。」


俺はチカを抱きながらチカの目を見て笑った。


「…オーナーは、この気持ちはチカにしか教えてもらえないって言ってた。

 知りたいんだ。

 わからないで、モヤモヤしてるのいやなんだ。

 だから…、教えて。」


今度はちゃんと聞こえるようにチカの耳元で言った。


「それを知ったら、ちゃんと伝えたいんだ。

 俺の口から、言葉で、チカに…。」



…沈黙が長い。


俺の胸がうるさく鳴っている。


死にそうっ。


このままだと、
心臓がおかしくなって、
死んじゃうんじゃないかな…?