会社を早退したわたしは、
すぐに自分の部屋に戻った。
「レイス!」
名前を呼ぶと、
ちょうどパズルを完成させたその状態から、
すぐに振り返って眩しく笑った。
「あ!チカ!思ったより早くて良かった!
まだ4回しか作れてないよ!」
…え?
今4回って言った?
今9時で、
たしか家を出たのが7時30分だから…、
一体何分…?
とにかく短時間に1000ピースパズルを4回って…!
レイス、
何者!?
って、
そんな場合じゃなかった!
「レイス。」
「何?」
「…オーナーに会お。」
しばらくの沈黙。
レイスはうつむいている。
「…イヤだ。」
レイスは曇った顔でキッパリ言った。
「どうして?」
「せっかく人間になれたのに!」
レイスは悔しそうに言った。
「まだ…、したいことがたくさんあるんだ…。」
今度はわたしをじっと見て言った。
「もう車になんてもどらない!」
「レイス!!」
わたしは叱る様に言った。
「…レイスも知ってるでしょ?
道本さんは、悪い人じゃないよ。
レイスの自由を奪うようなことしないよ。
そうならないように、わたしも全力で止めるからっ!ね?」
「…わかった。」
それでも、
レイスの顔からは不安の色は消えなかった。
よっぽど、
人間になってしたいことがあるんだな。
わたしはそれを、
叶えてあげたいって思う。
おせっかいかな?
何故だかわからないけど、
レイスのことほっとけないよ―。
…でも、
レイスにとって、
『わたし』って
一体何なんだろ……?

