空き教室では、水面が壁に寄りかかっていた。

「『西日に照らし出される美女』なんてなかなか乙なものだと思いません?」

「それを言うためだけに呼んだんなら帰るよ」

「冗談ですよ。北斗さんを呼んだのは話したいことがあったからです」

「話って、白雪のこと?」

瑠花みたいなのが、また現れたとか……

「違いますよ。まあ、全くの無関係じゃないですけどね」

「もったいぶらないで……」

「北斗さんは本当に白雪しか見えてないんですね?」

いつの間にか水面は目の前まで来て、俺の顔を覗き込んでいた。