「あの、じゃあこっちで撮ってもいいですか?」

「はい、こっちですね」

やっとステージに着いた僕たちは、指定された場所に立って他のレイヤーさんたちを目で観察してみる。

おー。
レイヤーさんたちのポーズとかもこだわりがあるみたいですごいけど、撮ってる人たちの格好もすごい。(笑)

なんか寝っ転がって、下のアングルから撮ってる人もいるし、寝てもらって、上から撮ってる人もいる…。
この執念すごいなぁ。うん、うん。

「あの…」

「は、はいっ!」

考えることに集中していたら、話しかけられた。
そしたら、なんか声裏返っちゃった。
うぅ…恥ずかしいよぉ…。

すると彼女は少し緊張が溶けたようにクスクス笑った。

「あの…」

「!ごめんなさい!なんか可愛いなぁって…」

可愛い…?
そう言われた時、ボッと顔に火がついたのが分かった。

「え、いや、あのっ…!」

思わずドモって、大きめのカーディガンの袖を口元に当てて、うろたえる。

「洋貴…」

「ふえっ…?」

皐月に肩をポンと叩かれ、振り向くと、皐月は親指をたてて鼻を抑えていた。
よく見ると、写真を頼んできた彼女たちの他にも周りにいる人たちがみんな鼻を抑えて、下を向いていた。

「グッジョブ、洋貴…!」