その夜
奥君のお母さんが亡くなった。


明くる日に先生がみんなに話した。

そして、奥君がこの学校からいなくなるとーー。

「奥はどこ行くんだよ」

堅田君が言った。

「親戚の家に引き取られる事になった。奈良県だそうだ…」

「何とかなんねーのかよ…先生」
「そーだよ。可哀想だよ先生!何とかしてあげてよ」

みんなが口々に言った。
あたしも、そう心の中で思ってた。

「先生も言ってみたが、どーにもならないと言われた」

「いつ?」
「先生!いつ転校しちゃうの」

「もぅ、明後日には」

「明後日?」

「お葬式を済ませて、明日お葬式だそうだ。その次の日に引っ越すそうだ。何もしてやれない先生も不甲斐ない(泣)みんなは知らないと思うが…あいつのお父さんが小さい時に亡くなって、6年の時にお母さんが病気になった。毎日毎日辛かったはずだ。お前たちは気づいたやついるか、気づかれないように明るく振る舞っていたあいつの事を…(泣)」

教室中すすり泣く声が響いた。

「笑顔で見送ってやろうじゃないか」

神様はいるのかな?
いるのなら、酷すぎる
神様は意地悪だ

あたしは、
あたしは奥君が好き
大好き!

大好きな人が辛い思いしているの見たくない。