あなたは見られている −聖なる夜に−

冬美の父は、守りたかったのだ。

借金とりを誤って殺してまでも、家族を守りたかったのだ。


冬美が幼い頃見たサンタクロースは、残酷なサンタクロースなんかじゃない。

自分たちを守ろうとした、自分の、父親だったのだ・・・。


冬美は、自分の馬鹿な勘違いに恥ずかしさを覚えた。

・・私は、最低な・・間違いをしたんだ。

本当に私は、愚か者だ。

こんな私の恥ずべき勘違いが、もし許されるのなら。


この聖なる夜に、誓いをささげたい。

冬美は父を連れ、部屋のベランダにでた。

真っ暗な夜空に、キラキラ光る星が、そんな二人を見守っている。

冬美は自分の両手をあわせた。

綺麗な涙をポロポロとながしながら。

冬美は、夜空にむかって


聖なる夜に、誓いを、ささげた。


−END−