外から聞こえてくるのは

五月蝿い蝉の声

近くの高速道路を通る車の音のみ…

夏のけだるい朝、エアコンも効かないプレハブの建築会社の寮


「あっつい、暇やぁ」

「休みでもお金が無いと何も出来ませんねぇ」


平日の朝から呑気に話す二人、渡部と千葉は同じ建築会社の同僚で関西弁の方が渡部で、もう一人が後輩の千葉である

好景気という名の格差社会は渡部達の働く会社にも影響を及ぼし、平日でも仕事にあぶれてる事が多い


そんな中、渡部は意に介した様子も無く千葉の話かけにも適当に答ながら惰眠を貧ろうとしていた



渡部恭介 35歳
大阪で生まれながらも、元来持ち合わせた風来坊的な要素を持ち各地で転々としながら生きてきた

しかし、様々の職業につきながらも各分野であらゆる才覚を発揮し活躍していた頃の彼と今の彼は大きく違った…