ずっと楽しみで仕方なかった。 「わぁ~。可愛い!」 鏡の前で自分の新しい制服姿に見とれながら浮かれている私は“田嶋佐奈”。私はこの可愛い制服姿をお母さんに見せたくて、階段をドタドタと降りる。
「お母さーん!見て見てー!」
笑顔でお母さんに駆け寄る。
「もう!何なの?朝からうるさいわね。」
朝ごはんを用意しながら眉間にシワをよせるお母さん。
「そんな怒んなくても良いじゃん。ねー、そんなことよりこの制服!どう?可愛くなぁい?」
お母さんは私の制服姿をじっと見る。
「そうね。すっごく可愛いわ。佐奈には勿体ないくらい。」
お母さんはにっこり笑いながら言った。 「お母さん、一言余計だよ!」
私は拗ねた振りをする。お母さん、「ごめん。ごめん。」って適当過ぎ!
「あっ。佐奈。急がないと入学式なのに遅刻しちゃうわよ?」
お母さんは思い出したように言った。
「うわっ。ホントだ。もう8時じゃん!じゃあお母さん、行って来るね!」
私は急いで玄関に向かい、靴を履いた。 「佐奈。行ってらっしゃい。」
お母さんは優しい笑顔でお見送りしてくれた。
「うん。行ってきます。」
だから私も、笑顔で返す。


どれだけ走っているだろうか