リボンの指輪

あたしはいつものように、小さく口元を緩めて、頼を見る。




いつもなら、頼も、笑い返してくれるはずだった。




でも、今日は違った。




頼は、あたしから、ふっと、視線を逸らした。




「……え?」




「ん、どうしたの、陽菜?」




頼は、笑顔で、女の子達の相手をしている。




「何でも、ない……」




予想と違った反応に、あたしは何もすることが出来ず、ただ、頼の前を通り過ぎた。




「頼人ー、今日は、遊んでくれるんでしょ?」




「……あー、いーよ」




「カラオケ行こうよ!」




「うん、いいけど」




頼が、そう答えているのを、遠くから聞いた。