リボンの指輪

優希くんが、苦笑いを浮かべる。




「本当にあんた、大人だね!」




香織が大口を開けて笑いながら、優希くんの背中を、ばしばしと叩く。




優希くんは痛みに耐えているのか、笑いながら、眉をしかめていた。




「あたしもこんな、大人な彼氏がいいな。前の彼氏なんてさー、超子供で、嫉妬ばっかするし、わがままだし、すぐ怒るし!」




香織のこういう話が始まると、最低30分は終わらない。




よほど、恨みがたまっているらしい。




この話を聞くのも、もう何回目になるだろうか。




「いやー、あたしはあれで、大人がいいなって思ったよね。歳は関係ないよ?でも、精神年齢がさぁ」




「あー、うん。そうだよね」




優希くんも、話していて、そこまで大人なわけじゃないと思うけれど。




ただ、人一倍、周りに気を使う人なだけだ。