優希くんが更衣室から出てきたのは、それからすぐだった。




「寒かったろ」




「全然。っていうか、優希くん、早かったね…」




「マッハで着替えたもん」




相当急いだのか、制服のネクタイが、若干曲がっていた。




「曲がってる」




「……あ」




「動かないで」




あたしは、しっかりとネクタイを直して、“ね”と笑ってみせた。




優希くんは、少し恥ずかしそうに、笑った。