優希くんが、あたしに気が付くと、ゆっくりと近づいて来た。




「お疲れ。田村、大丈夫だった?」




面を外しながら言う。




「大丈夫じゃない?無理矢理寝かせて来たし」




「あいつ、風邪引くとああなるんだな」




「って言っても、2人の時はいつも、あんな感じだよ」




「想像できねぇー」




ごもっとも。




「もう部活終わるから、中入って待ってろよ。寒いだろ」




「あー、大丈夫大丈夫」




それに、1人だけ中にいたら、他の女の子達から、睨まれそうだ。




「じゃ、すぐ着替えてくる」




「急がなくていいよっ」




「いーの。大丈夫」




そう言うと、優希くんは、さっさと走り去ってしまった。