「頼―――!学校、遅刻するよーっ」




あたしは、教室の窓から身を乗り出して、言う。




頼は、あたしをちらっと見て、
それでもまだ、ゆっくりと歩く。




もうチャイムが鳴る寸前だ。




「早くーっ」




「うっせー!!俺は今眠いんだよ!」




頼はあくびを噛み殺しながら、
あたしを見上げる。




睨んでいるのかもしれないが、
ここからじゃ、遠くて表情は読み取れない。




「だから朝起こしに行ったのになぁ…」




あたしがぼそっと呟くと、
頭の上に、ずしっと重みがかかった。