あたしは頼を家まで送り届けると、まだごね続ける頼を置いて、学校へと急いだ。




この時ばかりは、学校が近くてよかったと、改めて思う。




そう思うのは、この学校に入って、久しぶりだ。




優希くんと付き合っていたときは、“遠ければ良いのに”と思っていた。




「……あ」




剣道場を覗くと、優希くんの姿を、すぐに発見した。




それにしても、優希くんはすごいんだと、改めて感じる。




「すご…」




竹刀同士のぶつかり合う音が、体育館に響いている。




優希くんを観察しにきている女の子も、ちらほらだ。




そのうち、ファンクラブとか出来ちゃうんじゃないの…。




あたしと別れてから、ファンはより、多くなったのだと、香織から聞いた。




優希くんは、恥ずかしそうに否定していたけど、多分本当の話。




あたしと別れて、よかったのかもしれない。