あたしは今でも、
忘れられずにいる。




高校生のままで、時間は止まったような気がしている。




あたしももう、今日で26歳になるのだった。




「お姉ちゃん!!今日デートなんでしょっ!!遅れるよ?」



妹の陽葉(アキハ)が、
あたしの背中から急かす。




「まだ大丈夫だよ~。ほら、あと20分もある。駅だったら15分あったら着くって」




「お姉ちゃん分かってないなっ!!女たるもの、デートに余裕で10分前に着いとくのはマナーだよ」




陽葉はまだ高校生のくせに、
たまに痛いとこを突いてくる。




あたしもこのくらいの時は、
幸せいっぱいだった。




いつからだろう。




冷めた目で、世間を見るようになったのは。




何に対しても、熱くなれなくなったのは。