リボンの指輪

頼が呆れたように、そうこぼす。




「だって、頼、あたしのこと大事にしてくんないもん」




「十分してるだろ」




「全然伝わらないもん」




「やっぱり優しい奴が好きなんじゃん」




頼が、音楽室での会話のことを言っているのは、すぐに分かった。




そりゃ、優しい人が嫌いな人なんて、いるわけがない。




あたしだって、冷たくされたり、適当にあしらわれるよりは、優しくされるほうが、全然ましだと思っている。




「で、でも、あの時の頼の“優しさ”は、明らかに間違ってるから」




「へぇ、俺なりに優しくしたつもりだったのに?」




あの時のことを思い出して、何だか恥ずかしく感じる。




「ってか、熱あるんじゃないの!?大人しくしてなよ!」




「キスしてくれたら治る」




「治るかボケッ!」




あたしは体を起こしかけた頼を、無理矢理押し返した。




「わっ!!」




が、甘かった。