リボンの指輪

すっと、頼の手が、あたしに伸びてくる。




あたしは咄嗟に、体を引いた。




「頼の考えてる事、最近本当に分からない。何がしたいの?」




あたしは思わず、そう聞いていた。




自分一人で考え込みすぎて、限界みたいだった。




「あたしじゃなくたっていいくせに、何偉そうに言ってんのよ」




誰にでも、キスくらいするくせに。




「あんなにベタベタしてきてたくせに、今さら何よ」




人の気持ちって、こうもすんなりと、正反対に変わってしまうものなのか。




それとも、“好き”と“嫌い”は、やっぱり紙一重ってやつだったのか。




「馬鹿にすんのも、いい加減にして」




あたしはそう言って、思い切り窓を閉め、さらにカーテンを閉めた。




それからしばらくしてのことだった。




頼の部屋の窓も閉められたのは。