今日も、女の子と手を繋いで歩いている。




あたしはそれを横目で見ながら、優希くんに向き直る。




「ごめんなさい」




優希くんが、困ったように、眉を落とす。




今さっき、“別れたい”と、言ったばかりだった。




「……陽菜が謝ることじゃないよ」




「でも……」




「お願いだから、謝らないで」




ふと、優希くんの顔を見上げると、優希くんは、悲しそうに、笑っていた。




こんな顔をさせているのはあたしなんだと思うと、心がズキンと、痛んだ。




「田村んとこ、行くの?」




「そういうわけじゃない……」




「俺、分かってた。陽菜に、好きな奴がいるって」




「え?」




優希くんは、あたしの隣に腰をおろしながら言う。




「田村のこと、陽菜、ずっと見てた」