「もう来てるかなー…?」


高く広がる秋空の陽も落ちて、真っ暗になった夜の公園。

近所の子供達で賑わっていた夕方までの騒がしさとは打って変わって、不気味なほどの静けさの中で目を凝らして翔司の姿を探し出す。

暗闇への恐怖なのか、翔司に会える期待なのか、いつもアタシの胸はドキドキと高鳴った。


‘幼馴染みの暗黙の了解’の付き合いは、アタシ達も例外ではなく、人目を気にせず会えるのは

「自主トレでランニングしてくる。」

親にそう言って夕飯後に家を出て近所の公園で待ち合わせるこの時が多かった。


もちろん休みの日は、翔司の家に遊びに行ったり、歩いて数分の地元の海へ行く事もあった。

そんなささやかなデートだけど、十分満たされていた。




なのに、やっぱり、内緒の恋愛が早々うまくいくわけがない、なんて。


この時は、これっぽっちも思ってなんかいなかった。