「おはよう。何度か起こしたのよ。」


頭を下げてシャワーをしながら、すごく無理な体勢で声のする方に視線を向けると、メイクも身支度も整えた母が呆れたように立っていた。


「ほんとに起こした?全然気付かなかったけど??」


ちょっと八つ当たり気味に答えたアタシに


「何言ってるの。『うん。わかったぁ』とか言ってたじゃない。」


そういえば、昨夜セットした目覚し時計が鳴った音も記憶にない。


「とにかく、早く支度して遅刻しないようにね。」

「あー…うん。」

「それじゃ、お母さん行くからね。」

「うん。いってらっしゃーい。」


そう言って、母はパートへ出掛ける為に玄関へ向かって行った。

玄関のドアが閉まる音と同時に、アタシはシャワーを止めた。