バイクに乗って内田くんの服をちょっとだけ掴む。
「桜井さん、バイク初めてやろ?」
「え?」
「もっと掴んで下さいよ」
そう言って内田くんはあたしの腕を引っ張る。
「えっ」
背中から抱き付くような格好にされる。
「さ、動きますよー」
「え、ちょ‥」
加速していくバイク。
ほのかに香る煙草と香水の混ざった匂い。
18歳のくせに大人な香りのするちょっと強引な内田くん。
大きな背中に身を寄せれば思ったより風を受けるこのスピードもそんなに怖くなかった。
変なの、あんまり話したことなかったのにもうそんな感じ少しもしないの。

