「ちょ、ソラ!おせーおせーおせー」
「そんなに早くこげないって!!」
こんなに一生懸命こいでるのに、なかなか進まない。
「俺そんなに重くねーぞお?」
「うるさいなぁーっ」
愚痴りながらも、心地よい風を受けていた。
一人で自転車をこいでるより、話をしながらのほうが楽しい。
目の前に、大きな坂がやってきた。
ひとりでもツライ坂なのに、二人乗りなんて…。
「かわってやるよ」
「えっ?」
ガシャンッ。
ウミは自転車から飛び降り、ソラと代わった。
「うっしゃー」
ソラは立ち乗りをして、勢いよく坂を駆け上っていく。
「…ぅゎああっ!キャーこわいこわいこわいって!!」
ジェットコースターのような角度で、パニックになる。
私は無意識にウミくんのお腹あたりにつかまっていた。
それくらい勢いがよかった。
