あたしは立ち上がって蓮君のラックを覗き込んだ。


だけど、パッと見たところあたしが期待したような本は何もないようだ。

それどころか、経済に関する本やその資料をまとめた手作りのファイルのようなものがずらりと並んでいて、意外にも蓮君が勉強家であることがわかった。


「んー。つまんないなぁ……」


あたしは見るだけで眠くなりそうな難しそうな本を一つ、ラックから取り出そうとした。

だけど本がぎっしり詰まっていたため、その一冊を取り出す時に横にあったファイルをひっかけてしまった。


「きゃ……」


慌てて本を元に戻そうとしたものの、時既に遅く、ファイルは下に落ちて中に挟まっていた写真のような物がフローリングにばら撒かれた。


あたしは慌ててしゃがみこんで、写真をかき集めようとしたが

その手が止まった。


な……


何？


これ……？