「誕生日の件も、オレが頼んだんだよ」


今度は幸樹さんが口を挟んだ。


「美雨の誕生日が近い……って蓮哉が言うもんだからさ。どうせならこっそりプレゼント用意しておいてその日に告白しようって計画だったの。で、蓮哉に頼んで調べてもらったんだ」


「日向ぁ……あたしが誕生日にもらったのは幸樹からのこの指輪だけだよ?」


美雨ちゃんは薬指にはめられた指輪をあたしに見せる。


「蓮君とアクセサリーショップに入るとこまで見てたのかぁ……」


なぜかフゥと小さくため息をもらす美雨ちゃん。


「うん、偶然見かけたの……」


「あれはね……。あたしも後から聞いたんだけど、蓮君があたしの指輪のサイズを調べて幸樹に伝えるためだったの。それにあの時蓮君が買ったのは……」


何か言いかけた美雨ちゃんはそこで口をつぐんだ。


「それは……あたしの口からじゃなくて、蓮君から直接聞いてみて?」


そして「ほんと……世話のやける二人だなぁ……」とブツブツ呟いている。


どういうこと?

あたしの頭は疑問符でいっぱいだった。


「とにかく、これで誤解は解けた? あたしと蓮君とは何にもないんだからね」


美雨ちゃんはじっとあたしの顔を覗き込む。


あたしはコクンと頷く。


そして、幸樹さんと美雨ちゃんはその場を去って行ってしまった。