あたしの体はそれに反応してピクリと震える。


「なんか……飲む?」


蓮君が立ち上がってあたしを見下ろしていた。


「ほぇ? あ……うん」


なんだ……。

飲み物を取りにいくだけか。


もぉ、あたしなんでこんなに意識しちゃってるんだ。


蓮君は冷蔵庫から取り出したジュースとビールの缶を抱えて戻ってきた。


「ハイ」


蓮君はあたしに缶ジュースを渡すとさっきの位置ではなく、なぜかあたしのすぐ右横に腰を降ろした。


ううっ……。

こっちはさっきからこんなに意識しちゃってんのに、よりによってなんでこんな近くに座るのよぉ?


「悪い。オレ、ちょっと飲ませて」


蓮君は缶ビールのプルタブをプシュッと音を立てて開けた。


あたしも同じように缶ジュースを開けて、少しだけ口に含んだ。

緊張しすぎて、味なんてわかんないや。


あたしはこっそり蓮君の方へ視線を動かした。

蓮君はビールを喉に流し込んでいた。

喉仏が上下に動いている様子を見ながら、ああ、男の人なんだなぁ……なんて考えてしまって、さらにドキドキしてきた。


「何?」


あたしの視線に気付いた蓮君が、口についたビールを手の甲で拭いながらこちらを向いた。


「ううん、なんでもない」


あたしは慌てて首を横に振った。

もうダメ。

心臓がどうにかなっちゃいそう。


――グシャリ。

蓮君がビール缶を片手で握りつぶした音がした。