ドアを開けた先にいた蓮君はまたも上半身裸だったから。

そういや、前にもこんなことあったな。

蓮君って寝るときいつもシャツ着ないのかなぁ。


「えっ……日向?」


蓮君もあたし以上に目を丸くして驚いている。

そして慌てて玄関から外に出てくると、そのまま背中で押すように後ろ手にドアを閉めた。

まるで部屋の中を見られたくないような、そんな行動だった。




「おはよ……。ごめんね、こんな朝早くから、起こしちゃった?」


「へ? いや……起きてたけどっ……。えっ……でもなんで?」


なぜか蓮君はひどく焦っている。

そう言えば、いつもはすぐに部屋に入れてくれるのに、今日は慌ててドアを閉めちゃったし……。


――ひょっとして、いきなり来たからかなり迷惑だったのかな。



もう、早く帰ろう。


そう思ったあたしは鞄の中からCDを取り出した。



「これ、長いこと借りててごめ……」


――ギィ……

言いかけたところで、蓮君の背後の扉が動き出した。


「うわっ」


急に扉で背中を押された蓮君が前のめりになる。




「きゃ……ごめんね」


扉の向こうからそんな声がしたかと思ったら、徐々に開いていき……




やがて見知らぬ女性が顔を出した。