「……っくしゅんっ……」


「もー、あんな雨の中、びしょ濡れで帰ってくるからぁ……」


お母さんが両手を腰にあてて、呆れ顔を向けた。


「ごめんなさい……」


あたしは、どうしようもなく情けなくなって布団で目の下あたりまですっぽりと隠した。


「38度か……。熱下がるまでゆっくり休んでなさい」


「はぁい……」


――パタンッ

お母さんが出て行った後、ベッドの中からぼんやりと天井を眺めた。

考えないようにしようとしているのに、昨日から何度もあたしの頭の中で繰り返し浮かんでくるあのシーン。

一つの傘の中、仲良さそうに微笑む二人の姿。


「……ああっ。もう、なんでっ……」


あたしは布団を頭からかぶった。