鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―

「おい」

 なんか知らんがラブコメだした二人を、存在を忘れかけられた暁が止めた。

 詩穂も我に返ったように慌てて夏章から視線を逸らす。

「何でしょうか?」

「こいつ、ゆっくり休ませなきゃいけねぇんだろ?さっさと帰るぞ」

「おや、人にお気を使われるなんて初めてですね」

「うるせぇ!」

 夏章がからかうと、今度は暁が違う意味で真っ赤になった。

 その反応を見て、夏章がおかしそうにクスクスと笑う。

「まぁ、そうですね。暁様の言うとおり、帰りましょうか。詩穂さんは私が家までお送りします」

「あ、はいっ」

「では、行きましょう」

 夏章に手をさしだされ、詩穂はどきどきと緊張しながら手をとった。

 顔がまだ真っ赤になっていることが自分でも容易に分かり、俯きながら立ち上がる。

 夏章はそんな詩穂の様子に気付かない振りをして、そのまま手を引いて部屋をいった。

「…ったく、何なんだよあいつら」

 二人が部屋を出て行った後、暁が呆れたように息をつく。

 部屋が静かになると、鈴音の安らかな寝息がはっきりと聞こえた。

 暁がゆっくりとベッドの端に近寄り、鈴音の顔を見る。

「…」

 無言でそっと手を伸ばし、鈴音の前髪を優しく掻き揚げた。



 そして





 額にゆっくりと









 優しい口づけを落とす。






 顔を上げ、髪を撫でながら少しの間愛おしそうに見つめていたが、暁も静かに部屋を出て行った。