鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―

「という訳で、鈴音様は強い霊感をお持ちという事でお妃様候補に挙がりました」

 鈴音の嫌な予感的中。

 そんな理由でお妃候補に挙げられてたまるか!!

 夏章は満面の笑みで言うが、鈴音はそう言われても困る。

 何か反論を考えなくては。

「で、でも、人間はさっき話したように戦争を仕掛けたのよ?」

「そうですね。でもそれは大昔の事ですし、お妃様は人間からということになっているので」

 誰だよそんな決まりを作ったのは!!

「そうよ!それ!何でわざわざ人間からなの?」

「魔力を育てる為です」

「はぁ?」
 
 鈴音は夏章を見返す。

「ここでは主に母方が子を育てるようですが、あちらでは父方が子を育てるのですよ。
 そこで、誤った子育てをしない為にも、立派な跡継ぎを育てる為にも、練習が必要なのです」

「つまり…その練習代になれと?お妃が?」

「簡単に言えばそうなりますね。魔力が全然無い方が苦労するので、練習には良いのですよ」

 おいおい、マジで言ってんの?お妃を練習代に使うなよ。

「夏章さん」

「夏章で良いですよ。何でしょうか?」

「絶っ対に嫌です。申し訳ございませんが、辞退させて頂きます」

 「絶っ対に」を強調して断言。

 夏章の表情が笑顔のままで固まった。

「何でだよ?」

 夏章が何も言わないので、暁が聞く。

「当ったり前じゃない!女の人生で一番大切な結婚を、霊感を持ってるっていうだけで勝手に決められたんじゃたまったもんじゃないわよ!しかも魔力を育てる練習代?ふざけんな!」

 かなりの激怒。暁は心なしか身を引いている。

「べ、別に決まってねぇぞ?ただの候補じゃねぇか」

「た・だ・の候補でも!もしかしたら本当になるって事でしょう?」

 二の句が継げない暁に、ようやく夏章が口を開く。