鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―

「結局はずっと昔の事だ。今更どうしようもねぇよ」

 鈴音は顔を上げて、今度は暁を見た。

 まだ目は涙目になっており今にも泣き出しそうだ。

「だから、そんな暗い顔してんじゃねぇよ。お前、顔はなかなか可愛いんだからさ。ブスになるぞ」
 
 目茶苦茶だが、今はその気軽な話し方の方が気が楽になる。

 目をゴシゴシとこすってから鈴音は暁に向かってふわりと微笑んだ。

 暁はそこで初めての鈴音の笑顔を見て、胸がドクンッと高鳴る。

 ドキンッ・・・ドキンッ・・・ドキンッ・・・

 急に動悸が早くなり、胸に手を当てながら暁は小首を傾げた。

(なんだこれ。風邪か?)

 そんな暁を放っておいて話は進む。

「では、鈴音様が落ち着いたところで、私達がここに来た理由に移りたいと思います」

「はい。…すいませんでした」

 鈴音は膝に両手を当てて、ペコリと頭を下げる。

「いえいえ。顔を上げて下さい。暁様と私がここに来たのは、現王子の暁様のお妃様を探しに来ました」

「へ~ぇ。そうなんですかぁ。見つかるといいですね」

「感心してる場合じゃねぇぞ」
 
 どうやら胸の動悸が収まったらしい暁がまた口を挟んだ。

「今のところ、鈴音様がお妃様の第一候補です」

「…へ?」

 あからさまに嫌そうな顔をした鈴音。というか困惑顔。

「何でそこで私が出てくるんですか?」

「それは、先程お話しました『魔法』の話に戻るのですが、人間にも『魔法』が完全に無くなったという訳ではないのですよ」

「?」

 話の意図が全く掴めない。

「人間には『超能力』や『霊感』という形で、まだ『魔法』が少しだけ残っているのです」

 そこでやっとなんとなく理解し始める。

 今度は鈴音の嫌な予感。