鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―

「勿論、皆が快く同意をしてくれた訳ではありませんでした。
 戦争をしながら説得に説得を重ねて、やっとの思いで同意をしてくれたのです。
 そして、ある朝。
 魔法を使える側の姿が忽然と消えてしまった。
 どこを探しても、一人も見つからない。
 魔法を使えない側は不思議に思ったが、こう思うようにしました。
 『やったぞ!あいつ等に勝ったぞ!』と」

 鈴音は俯いて黙り込む。何も言えなかった。

「そして、時が過ぎ、魔法を使えない側は人間と呼ばれ、譲られた土地は地球と呼ばれ、魔法は空想として誰一人として信じられず、自分達が使っていたなんて忘れられていきました。
 ――――これで『魔法』についての説明は終わりますね」

 夏章は鈴音を見る。鈴音は変わらず同じ状態だった。

 そして突然ポツリと呟く。

「じゃあ、“私達”が戦争を仕掛けなければ、今でも貴方達はこの世界に居られたの?」

「…そうですね。鈴音様が悔やむ事ではありません」

「だけど!」

 鈴音はバッと顔を上げて夏章を涙目で見る。

「私達のご先祖様がやったんでしょう?!」

 夏章は困った顔をして言葉に詰まった。

 確かに、鈴音がやった事ではないとは言え鈴音の先祖がやっとことかもしれない。

 否定も肯定も出来なかったのだ。

「戦争を仕掛けるなんて…故郷を追い出すなんて、最低だよ!」

 鈴音は両腕を掴んで自分を抱くようにすると、また俯いて黙り込んでしまった。

「今、お前が悔やんでも仕方ねぇだろ。てかお前は全然関係ねぇじゃねーか」

 ずっと黙っていた暁が口を開く。