愛子は名前の通り愛される子だった。
可愛くて小さくて頭も良くて運動神経も良い。そこにプラスαとして性格のよさが加わる。

嫌う奴なんていなかった。

いたとすれば自分の彼氏が愛子を好きになったことで、妬むようになった馬鹿女だけだ。

そいつらからのイジメは時々あった。


「あーあ…またノート駄目になっちゃった」


ぐちゃぐちゃに踏みつけられ、刻み込まれたノートはもうすでに原型を成していなかった。

俺に向ける顔は笑っていても愛子の心中では号泣してるかもしれない。
そう思うと胸がきゅっとなった。


「…俺のノートやるから。…帰ろ」


既に同情じゃなく愛情があったのかもしれない。