綺麗な肌の速水さんは、これから咲おばちゃんと呼ぶようになる。



「娘の愛子です」

「可愛いわねぇ」


咲おばちゃんはお世辞ではなく心からそう思ってるのがバレバレな母さんに、ちょっと嬉しそうな顔をした。


「中学1年生なんです」

「あらほんと?広紀、あんたお兄ちゃんよ」

「何だよ、笑うなっ」


俺はまだ背が低かったから、愛子とあまり変わらないくらいに見えた。

笑う母さんを睨んで、前に目を向ける。


「広紀だから、広ちゃんだね」

「は?」

「あたしのことは愛子で良いからね、広ちゃんw」


広ちゃんなんて呼ばれたことがない。
餓鬼くさいあだ名を付けられた餓鬼の俺は、怒って居間に戻った。


「す、すいません」

「良いの良いの。愛子ちゃん、うちの広紀と仲良くしてね?」


うんっと元気よく答える愛子の声が玄関で響いてた。