そのパノの箱がフワリと持ち上がった。

(今度こそ開けてくれるのかな!)

ずーっと、もうずっとパノはアヤの顔を見ていない。

パノはワクワクする心で胸をときめかせたのだが、残念ながら箱の外からはアヤとは違う声がした。

「これ、壊れもんじゃないですよね?」

「あ……それは」

返事をしたアヤの声が答えに詰まっていた。


箱の外では引っ越し屋が右往左往しながら、たくさんの荷物を運び出している。

その中のひとりが箱を持ったままアヤの答えを待っていた。


「自分で持っていきますから、置いててください」

「あ、はい。じゃあここに置いときますね」


そしてパノたちが入った箱は、また部屋の隅に戻された。

中のパノはガッカリだ。

(あーん、アヤに会いたいのにな……。ねえ、ライスくん)

もちろんライスシャワーは答えない。