「こっちは食器ですね?」

「はい、気をつけてくださいね」

「おい、こっち毛布かけて」

「じゃあ持ち上げるぞ。イチ、ニィ、サン!」

パノはその騒がしい物音に耳を澄ませていた。真っ暗な箱の中からじゃ外の様子はまったく分からない。

想像だけで見当をつけてみたけど、小さなパノには何のことかサッパリだ。

(なんだろう……)


時々箱がガタガタ揺れて、そのたびにパノはフタが開くのを期待したのだが、いつまで経ってもそんな気配はないようだ。


(ライス君は心配じゃないのかなあ?)


パノの隣にはずっとライスシャワーがいる。箱の中でも2人は一緒だった。

でもどちらも所詮はぬいぐるみ。

話をすることもないから未だにお互い何を考えてるのか分からない。