パノと魔法使いとその仲間

そのマイケルが大声を上げた。今はバス停にたむろしているのは高校生だ。その彼らが、激しい猫の鳴き声に上を向く。

「幌のトラックが来るにゃ! 米子ナンバーにゃ!」

パノたちは色めき立った。クロは二人を抱えると最後に言いつけるように確認させた。

「いい、トラックが米子に着いたら見つかる前に飛び降りるのよ」

「うん、わかった」

「下手に人に接触しちゃダメよ。いい人って思える人じゃないと話しかけちゃダメ」

「うん」

やがて目的のトラックが交差点に差し掛かると、クロが銀の棒で信号を指す。青い光を灯していた信号は、いきなり黄色を通り越して赤い光を灯し、トラックは鋭い音を立てた。

急ブレーキにつんのめったトラックがクロたちの目の前に止まる。

驚く運転手の目は急に変わった信号に釘付けとなっていた。

「さ、行くわよ!」

素早く荷台にまわると、幌の隙間にパノたちを押し込む。最後を惜しむようにクロが声を掛けた。

「信じるの。そして強く祈るのよ。そうすればきっと会えるから」

「うん、ありがとう」

「ありがとうの~」

「うん、じゃあお別れよ。気をつけてね」

「クロぉ……」

クロは手を伸ばしてその小さな手を握った。そして優しく笑ってその指を離した。

幌の隙間からクロの顔が消える。



パノはそれを少し寂しい気持ちで見送った。