駅の改札口に立ってから、私はある事に気が付いた。
「…切符買ってない」
当然だ。
私に前日切符を買うなんて習慣無いし。
「ほれ」
幹也がポケットから二人分の切符を出した。
「…いいの?」
「ったりめ~だ」
「あ、ありがとう…」
私は一枚その切符を取る
「ホントに幹也を旦那さんに貰ったら幸福ね」
「おいおい。香苗がその候補筆頭だぜ?」
「私よりいい女なんていくらでもいるでしょ」
「だ~め」
幹也がクスリと笑い私の肩を叩いた。
「お前がいいの、俺は」
「…あそ」
「相変わらず連れないなぁ。ここは『私嬉しいわ♪』とか言うべきじゃ…」
「誰が言うかっ!」
