「だって事実じゃん。姉貴より美人いるだろうし、姉貴より性格いい人いるだろうし、姉貴より幹也兄ちゃん好きな人いるだろうし」 「それは…ねぇ」 こればっかりは幹也に聞けとしか言えない。 「カナちゃん行くよ!」 「あ、うん!ゴメン芽佳姉」 私はバッグを引ったくると、急いで玄関口に向かう。 「あ…」 玄関の靴箱の上にある銀時計を取った。 銀色をした懐中時計だ。 「…行ってきます」 私はその懐中時計に挨拶すると、それをポケットに入れ、いそいそと玄関を出た