あの夢を見始めてから三ヶ月の月日が流れた。高橋さんはあの日以来、毎日同じ夢にうなされている。しかも日を追うごとに老人に苛立ちが見え始めた。
「何油売ってんだ!お前勇者だぞ?わしがわざわざ夢に出てきてやってんだ、早く仲間を集めて立て!このハゲデブが!」
「そんなこと言われましても…」
いつからか高橋さんは夢の中で会話が出来るようになっていた。それだけ夢が現実的になってきているのだ。
「何ためらっちゃってるの?勇者だよ勇者!」
「なぜ私が…?」
「仕方ないでしょ~、そういう設定なんだし」
「…設定?」
「いいから早くしろよな!」
高橋さんは心身共に追い込まれ、抜け毛も激しくなったのはいうまでもない。